今月は、年に1回の会費を200円徴収します。
どんなことにこの会費を使ってきたか、新しく百草園の消費者になってくれた人もいますので、すこし説明しますね。
農業を経営でみると、儲かる産業とはいえず、時々萎えます。
それでも40年間有機農業を続けてきたのは、消費者との提携という農業の新しい仕組みに夢を感じたからです。
他の産業では、売る方が価格を決めることが前提です。でも農業では農家はつくるだけで価格を自分でつけることすらできない仕組みでした。
そうではない、売り買いだけではない仕組み「食卓とそれを囲む人が見える生産者」と、「畑や四季、それをつくるお百姓さんが見える消費者」がともにつくっていく関係をめざして百草園は出発しました。
百草園と共に歩む消費者の会(千草会)もでき、一緒に、野草摘みと野草料理の会をやったり、田植えをやったり、芋掘りをやったり、いろいろやってきました。国際映画祭も準備しました。(コロナで開催できませんでしたが)
会費は、消費者と生産者が、そんな関係をつくっていくための費用と思っています。
福島原発が爆発したときは、私は福島の武藤類子さんに会いに行き、お話を伺って、福島原発から30k圏内の三春町に住み続ける武藤さんとその友人に野菜を届けはじめました。今もそれは続いています。
そのために、千草会の有志が、武藤さんに野菜を送る費用を毎月200円寄付してくれています。
福島であれだけの経験をしたのだから、「地震大国の日本では原発はいらない」という方向に動くのではないかという希望も抱いたのですが、実際はどの原発も再稼働が始まってしまいました。とても悔しいです。
東電の責任を追求する裁判を続ける武藤類子さんの言葉を紹介します。
「若い人たちも行動を起こしてくれている。数ある原発訴訟の中でも小さな勝利があったりする。がっかりすることも多いけれど、少しずつでも、やはり人は進化していくと思うんです。変わるのは時間がかかる。小さい努力を積み重ねながら、諦めず、地道に訴えていくしかないですね。みんなでね」
※武藤類子さんの現在の想いの全文は「福島の記録 武藤類子」で検索してください。https://fukushimatestimony.jp/live/8.html
有機農業だって有機農業推進法という形で国が認めるまで40年近くかかったのだから、諦めないで続けること、というか、やめられない不器用さが、いつか世界を変えると思いたい。