40数年前、麦を初めて作った年は、栽培した麦をどう使うかも考えずタネを撒き、その収穫が梅雨との追いかけっこになることも知らなかったので、のんびりとしていて梅雨に追いつかれ、畑で乾燥もできない麦を、鞘ごと家の中で保存したものでした。家の中では、束ねた麦の周りを蛾がヒラヒラと舞っていました。
脱穀して麦の粒になり、それを保存するのですが、その間にも、穀象虫(コクゾウムシ)という超小さなカブトムシのような虫が知らぬ間に潜り込んできます。麦が大好きなんですね。天気の良い日にはゴザの上に広げて天日干しをします。すると象虫は日陰に隠れようと、モソモソと這い回って逃げていきます。
何町もつくる大きな小麦農家であれば、保冷庫のなかに保存するのでしょう。でも、1反や2反程度しか作らない私たちには保冷庫はありません。
麦の保存の強力な助っ人「ドライアイス」
保存中に虫がつかなくなったのは、ドライアイスを使うようになったからです。
ドライアイスは二酸化炭素の個体です。これを小麦をいれたポリタンクの一番上においておけば、ポリタンクの中で気化し二酸化炭素になります。二酸化炭素は空気より重いので、ポリタンクの中で下に沈み空気を追い出します。この状態でキャップをしめれば、虫対策は完璧。空気がなければ害虫は生きることはでいません。なんという優れた発想でしょう!!!
麺は栃木県の製麺所で
この小麦を麺にする時は、ポリタンクからだして袋に詰め直し、栃木県の黒澤製麺所に送ります。すると数日たって、太麺と細麺になって送り返されてきます。
どうして遠路はるばる栃木まで送るのか。それは、この製麺所の麺は原麦の風合いを残して製麺してくれるからですツルッとしておらず、ボタッとしていて、それが良いのです。
昨日も黒澤製麺から麺が届きました。なかなか個性的な麺です。試してください。