ミツバチが花粉や蜜を巣箱に運ぶのはよく知られていますが、水も口に含んで運ぶという話を聞きました。
春は貯めた蜜を水で薄め食べやすくする為に、夏は巣箱内に水を霧状にふりかけ、気化熱を利用して巣箱の熱を下げるためだそうです。だからミツバチの巣箱は、外気が40℃近くになっても36℃の標準温度で維持されるとか。
その水を、ミツバチは田んぼからも運んでいると聞いてびっくりです。稲の花粉も団子にして運んでいると聞いてさらにびっくり。稲の花はとても地味で、朝から昼の数時間しか咲かないので、知っている人も少ないでしょう。
私は農業を30年以上やっていますが、田んぼにミツバチが飛んできていることすら気がつきませんでした。
生物調査用の長—い網袋を田んぼで振ると、ウンカやトンボに混ざってミツバチが掴まるのだそうです。
ミツバチの大量死と稲の関係
ミツバチとネオニコチドイド系農薬の事が騒がれていますが、日本では稲のカメムシの防除に使われるネオニコチノイド系農薬が影響していることが分かってきました。
2013年度に農林水産省に報告されたミツバチ被害事例を解析した結果、ミツバチの被害は水稲の開花期に多く、水田に飛来したミツバチがカメムシ防除に使用した殺虫剤を浴びたことが原因の可能性が高いことがわかりました。また、試験研究機関が行った現地調査では、水田周辺に設置した蜜蜂の巣箱からイネの花粉が収集され、蜜蜂が水稲の開花期に水田に飛来することが裏付けられています。そして、その場では死ななくても、汚染された花粉を巣箱に持ち返るため、その花粉を食べた蜂の大量死につながっていることが、死んだ蜂の解析から分かってきています。
巣箱の前に排出されたミツバチの死骸を採集して、(独)農研機構と(独)農業環境技術研究所が殺虫剤濃度を分析したところ、ネオニコチノイド系のクロチアニジン、ジノテフラン、フェニルピラゾール系のエチプロール、ピレスロイド系のエトフェンプロックス、有機リン系のフェントエートが検出されたという報告書があります。これらは、すべて斑点米カメムシの防除用に水田で散布されていた殺虫剤成分でした。
ミツバチの日本での共存はお米作りとの共存
田んぼの水も運ぶのであれば、水もきれいにせねばです。
お米のカメムシの吸い後の黒い点が残ると、お米の等級が落ちます。ミツバチの大量死に影響があると分かっている農薬を使ってでも、見かけがきれいなお米が欲しいですか?