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百姓百品の便り
百草園のニワトリの餌のこだわり
百草園では遺伝子組み換えしていない餌をニワトリにやっていることもあって、熊本県有機農業研究会のオーガニックコンシューマー中級講座のコースとなりました。21日の生徒さん25名がやってきます。
それで「何を説明したらいいのだろうか」と考えていたのですが、熊有研の若い職員の出田さんが、「そもそも私達は、普通の飼い方や餌がどうなっているのか知らないので、それも含めて教えてください」と言ってくれました。
出田さんの言葉で、もう30年も自家製飼料で平飼いをやっていると、それが当たりまえすぎて、原点の説明を忘れがちになっていることに気づきました。
だから、思い出すまま、私達のこだわりを説明することにします。何故自家製飼料をやるのか・・・・
① 中身が見える餌を
市販の餌は配合飼料と言われ、家畜がそれだけで育つように色々な原料や添加物を工場で混ぜたものを使います。
それは大規模の養鶏(普通万単位で飼っています)で使うため、餌がベルトコンベヤー等で流れやすいように水分がなくサラッとしています。また抗生物質などの薬もほぼはいっています。
そんな飼い方に疑問を感じ、家庭で料理をすれば、その材料が分かることは当たり前なように、農家が集めた原料を自分たちで混ぜ、餌にする方法を選びました。百草園の餌は、水分があるので、保存するとき発酵します。特に夏は、ホカホカの餌になります。水分を含んだ餌はサラダラとは流れませんので、人が手でやります。もちろん、薬は混ぜません。② 養鶏の規模を決めるのは緑餌
配合飼料にニワトリが好きな緑餌がはいっているかどうかは知りませんが、多分、やるとしても市販されているパサパサした乾燥緑餌です。
私達の場合、ニワトリの主食の緑餌を生の野菜の形でたくさんあげることができます。平飼養鶏の規模を決めるのは、緑餌を栽培できる広さと、毎日緑餌として草を刈る労力によるといわれる由縁です。
百草園の養鶏は野菜の有機栽培を2町やっていて、その野菜残さがあることで、400羽の緑餌を維持できています。
何万羽も飼う場合,緑餌はどうするのでしょう?③ 国産の餌と遺伝子組み換えでないことへのこだわり
養鶏の飼料のトウモロコシは98%輸入です。それをできる限り国産のものにしています。その一つが自分で作った飼料米。でも、お米だけでは穀物が足りないので、輸入のトウモロコシを使いますが。伝子組み換えでないものを取り寄せています。
遺伝子組み換えでないトウモロコシを扱う商社を探すのが大変でした。 以下次号に続く
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あけましておめでとうございます。R帝国がやってきませんように。
あけましておめでとうございます。
今年は1週間まるまる百草園の配達はお休みにしました。こんなに休むのは、百草園はじまって以来ではないでしょうか。
恒例の紅白を見ながら、コタツでごろんごろんとしながら、本を数冊読みました。
中村文則さんの書いたR帝国は、近未来っていう想定らしいけど、今思い当たる事が多すぎて、体は完全にフリーズ状態に。正月に読む本ではないわ。。。とにかく、今年も百草園は頑張りますので、よろしくお願いいたします。
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薬剤耐性菌に関するアンケート調査がきました
熊本県中央地区家畜自衛防疫促進協議会というところからです。家畜保健衛生書内に事務所を構えている、公的機関に準じるもののようです。
アンケートの趣旨は
「近年、多くの抗菌剤の効かない多剤耐性黄色ブドウ球菌等、抗菌剤に抵抗性をもった「薬剤耐性菌」の増加が大きな問題となっています。家畜への抗菌剤の間違った使用は、薬剤耐性菌の出現、畜産物を介した人への耐性菌の拡大を招き、安心、安全な畜産物に対する信頼を脅しかねないため、家畜への薬剤の慎重使用が求められているのが現状です。後略」
というものです。アンケートの問いには
・家畜に対する抗菌剤の使用には獣医師の診察・診断、指示が必要である事を知っていますか?
・畜産物を介して人へ「薬剤耐性菌」が拡大する可能性があることをしっていましたか?
という設問がはいっています。これまで私達が警鐘をならしてきた、家畜の餌に抗生物質等を混ぜるという形で、多量の抗菌剤を使っている現状の問題を認めたわけです。
家畜の飼料に抗生物質が日常的に混入されるのは、過密とストレスで悪化する感染症の予防のためだけではありません。人間で考えるとありえないことですが、抗生物質を与えると飼料が同じ量でも体重増加・成長が速くなるという家畜の成長促進のために添加されているようです。こようなアンケートが生産として私達に届いたのは、初めてのことです。
これで家畜の飼い方が変わるといいのですが。私達が卵のために飼っているニワトリは、大人になるのに6ヶ月かかります。
ブロイラーの鶏は40日から50日で成鶏になるそうです。品種の違いもあるのでしょうが、あの軟らかい鶏肉の秘密はここにあります。
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今年もイチゴをお届けできます
百草園の近くに新規就農し、イチゴを頑張っている伊藤さん夫婦からのメッセージです。
私達も、今年も美味しい貴重なイチゴを届ける事ができて、嬉しいです。野菜セットと一緒に届けています。
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伊藤農園より
昨年からいちごを納めております伊藤農園です。就農して今年で4年目、いちごは4作目になります。
今まで失敗を繰り返し最大の課題でした苗づくりも今年は何とか克服し、初めて農園の苗ですべてをまかなうことができました。
また、今シーズンは有機JAS認証を取得しJASマーク入りのいちごをお届けできるようになっています。
希少な「有機いちご」を是非多くの方に食べていただければと思いますので今年も宜しくお願いします。蛇足ですが、いちごにはキシリトールが多く含まれていることをご存知です か?
ビタミンCが豊富なことは有名ですが実はキシリトールも多いそうです。風邪予防に、虫歯予防に良いかもですね。
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イチゴは平均農薬使用回数が52回とか63回といわれ、農薬が非常に多く使われる作物です。元々、イチゴの旬は4~6月だったのですが、ショートケーキなどのピークがクリスマスになるので、それに合わせるようにビニールハウスを使う事で旬をずらし、苗づくりから収穫までの期間がこれまでの約7ヶ月から1年を超えるようになってしまい、農薬の回数も増えていったと聞いています。
高温・多湿なハウス内は病害虫にとって住みやすく、無農薬でつくるのがどんなに難しい事か。
イチゴに虫や病気がついていないか一個一個点検し、デリケートな果物なので刷毛でそれを払うのだそうです。
イチゴを痛めないために、夜中に暖房も入れない部屋でその作業をしなければいけないのだそうです。農薬を使っていれば、そもそも虫はいないので、刷毛で払うとかは必要ないのですが。
伊藤さんのイチゴは貴重なんです。
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熊本県の農業冊子「アグリ」で書いています
実は、熊本県の農業冊子「月刊農業くまもと『アグリ』」に連載をさせていただいて3年になります。
自分の文章が書いている事をなかなか人に言えなかったのですが、編集の仕事をしている娘が編集者の立場でツイートしているのを読んでいて、私の文章を書かせてくれている編集者のためにも、宣伝というか、広く伝えた方がいいと思えるようになりました、
3年目にしてこの感覚、遅すぎますよね。編集してくださっている県の農業技術課内にある熊本県農業改良普及事業協議会の編集担当さんへの感謝の気持ちをこめて、今回書いた記事を紹介します。
私、伊藤若冲が好きなんですけど、伊藤若冲の絵から見た有機農業的なことを書いています。アグリは、県や地域振興局で見る事ができますので、県庁等に寄られた時はご覧下さい。
facebookもあります。以下若冲の事を書いた原稿です。
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伊藤若冲の絵の中に昆虫と虫喰い跡が江戸時代の奇才の画家と言われる伊藤若冲の人気が止まりません。今も熊本県立美術館で若冲の本物の絵が公開中です。
私も若冲の絵が好きで、画集を2冊も買い、日々眺めて喜んでいます。
上手く表現できないのですが、若冲の描く雄鶏の真っ赤なトサカと、どこかいってしまっているかのような見開いた目に釘付けです。
でも若冲にはニワトリの絵だけではなく、昆虫や植物を描いた絵もたくさんあるんですよ。
今、熊本に来ているのは糸瓜群虫図と呼ばれるヘチマを描いたものです。一見地味な絵なんですが、1枚の絵の中に、ヘチマとそこに生きる昆虫が10匹も描かれています。その昆虫は精密画のように、肉眼では見えない足のとげまで描き込まれていて、凄いのです。葉っぱをかじってる青虫もいるし、青虫の天敵のカマキリもカマを振り上げる姿で描かれています。昆虫達の目もニワトリの目と同じく見開いた目で、目だけは漫画だなーと思いますが。。。。
この絵で私を喜ばせたのは、葉の虫喰い跡と変色がしっかり描き込まれている事なんです。調べたら糸瓜群虫図だけでなく、若冲の絵にでてくる植物には、自然界に見られる虫喰いや変色、奇妙な形をした花びらまで描きこまれているようです。私も画集を隅々まで探して、インゲン豆はもちろん、牡丹も百合も紫陽花も、針葉樹ではない葉っぱには虫喰い跡が描かれてることを発見!
私は、これが有機農業の世界と似ている気がして、嬉しくてしかたありません。化学農薬のなかった江戸時代にはこれが普通ってことは、考えれば当たり前のことですよね。その普通の虫喰い跡を、美と感じて表現できる若冲の世界がうらやましいです。
農業は絵ではない、農家は食っていかないといけないから、消費者が望まない虫喰い跡はない方がいいということも分かっています。でも農業も自然本来の姿に向き合うことも必要ではないでしょうか。
百草園は卵をとるために平飼いでニワトリも飼っていて、有精卵になるように雄鶏も入れています。でもその雄鶏は改良された品種なのか、若冲の描く雄鶏のあの美しさと、どこかにいってしまっているような見開いた目はありません。養鶏用のニワトリではない、昔庭先にいた野生の血が入ったニワトリを見たいなと思う今日この頃です。
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獣たち
農家といろいろな獣たちとの戦いは、まさにいたちごっこという言葉がぴったりの関係です。害獣の小さい物で言えば、ネズミですが猫がいないと鶏の餌や、米麦類など穀物のまわりに増え始めます。うちのギーちゃんが亡くなってから、しばらく経って増え始めたかなと心配していたら、このところ2匹の猫がやってくるようになって少し安心です。でも、この猫も油断するとひよこや卵を狙い始めます。
卵の被害と言えばアオダイショウと何といってもイタチです。つい先日もだんだん大胆に卵を狙うようになったイタチを退治しました。これでしばらくは安心と思ってたら、今度はそれより大きい(多分テンかアナグマあたり)が鶏小屋に侵入し鶏の首を紙ちぎっていました。進入路に罠を仕掛けましたが賢いのか、出てきません。本当にいろいろありますが、まだイノシシが出ないだけましだと思うようにしています。
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気づいてみたら早、師走!
2017年も12月になってしまいました。何と早いことか。
今年の作柄を振り返ってみると、不本意な一年でした。というのも、年々作物が作りづらくなってきている感覚があるのですが、それへの対応がいまいち追いつきれ無くて、作柄が良くないケースが多かったからです。一番の原因は高温化が進んだことで、特に夏、秋の野菜が不調でした。夏に関して言えば、6,7月に35度越えの日がつづいて、ナス、ピーマンなどのなりものが、中盤で殆どならなくなったのが応えました。来年はナスの品種を変えてみようと思っています。同じピーマン類の中でもジャンボシシトウだけは樹勢が衰えず、ピーマンが出ないときの代替で植えていたのが助けてくれました。
秋の作柄への影響は何といってもダイコンサルハムシの活動が活発で、ダイコン、かぶ、そして小松菜など青物類、白菜と言ったアブラナ科の主力野菜の、第一弾の作付けが被害にあってしまうことです。涼しくなってからの第2弾は影響を殆ど受けないのですが、第一弾がやられると、10月末から11月の出始めの予定が大きくずれてしまいます。今年はそのせいで、ダイコンと白菜がだいぶ遅くなってしまいました。これへの解決策は手探り状態で、来年も苦労しそうです。
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タマネギの皮を使った草木染め、台風のため中止です
大型台風がやってきます。
台風の前から雨ばかりで、稲刈りは中断、進みません。耐えるしかないです。今日、22日に予定されていた千草会の草木染め体験も中止することになりました。
台風による雨もなんですが、先生の森永真弓さんの子供が中耳炎で動けなくなったことも重なりました。百草園の周りにいる若い後継者達を知ってもらう意味でも、いい機会だったのですが、残念です。
千草会代表のよしきさんが、またやりましょうと言っていますので、楽しみに待っています。
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芋掘り交流
今年も,百草園の研修卒業生で作った出荷組織万菜村と、九州産直クラブ消費者との芋掘り交流会でした。
心配した天気もカラッと晴れて、暑いくらいです。小さな子ども達には、芋掘りは楽しい体験になるようで、毎年、小さな子ども達がたくさん参加してくれます。
今年は、大人と子供で約40人の参加でした。
九州産直クラブで扱っている菊池の走る豚を使った焼き肉もあって、ごちそうでした。
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我が家の猫ギー
我が家の1歳の猫ギーが猫白血病と診断されてしまった。
もう1週間も何も食べていない。水すらのまない。
娘は「ギーちゃんは自分に何が起こっているのか分からなくて不安なんだから、親猫の舌でなめるように優しくなでてね」というが、私には、ギーが不安なのか、寂しいのか、達観しているのか、分からない。時々目を合わせ、やがて、視線は他にいく。撫ぜると目を細めるけれど、もう喉をゴロゴロと鳴らす事はない。
吐いていた頃は苦しそうだったけど、体に何も入れなくなって、呼吸は落ち着いてきた。やせ細って、筋肉のなくなった足を踏ん張り、ふらふらとトイレに行く。
魂が、体を捨てようとしているのだと思う。
出来る限り軽くなって、そうすれば、自由になれるから。
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