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百姓百品の便り
年末恒例の餅つきです
先日、年末恒例の餅つきをしました。
今年の研修生は20代なのですが、杵(きね)を知りませんでした。
モチをつくリズムや重心の移動など、私たちの世代にとっては臼を前にして杵を持つと自然と体が反応するものなのですが、そうではない世代が育っているようです。若い世代に伝えなければならないことが、山のような気がして、すこし焦りました。
有機農業は、単に農薬を使わない、化学肥料を使わないということではありません。
豊穣な土を、自然の力をかりながらつくり、自然の多様性とどう共存して農業をおこなうのか、それが基本です。
杵すら知らなくなった世代にどこまで、それを伝えることができるのか、あと人生の残りを数えはじめた年代ですが、頑張ってやってみます。1年間百草園の野菜におつきあいいただいて、本当にありがとうございました。
百草園の野菜を通じて、季節を感じ、土を感じていただけたでしょうか。良い年をお迎えください。
百草園
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百姓百品の便り
今年も医学部の学生さんと交流!
12月はじめには我が家に恒例のお客さんがありました。熊大医学部の環境保健医学分野の教室が、農と食を基盤にした健康な地域づくりをテーマに、学生に、様々な生活や作業(とくに農業)を訪問、体験させるという企画で、百草園を毎年訪問してくれています。生活や作業の環境と人の安全と健康に関する研究や実践活動の意義とありかたに対する理解を深め、医学の社会における役割を自覚することを目標に、様々な現場の方々と積極的に交流する場を提供することを目的とするものです。
毎年数人の学生さんがきて圃場を見学したあと、鶏をつぶして、だご汁と焼き肉の昼食を囲んで、交流をおこないます。有機農業と熊大医学部は、実はとても縁のあるところです。
熊本県有機農業研究会は約40年ほど前にたちあがりましたが、その設立の大きな影響を与えたのは、当時の熊大医学部生達による農村の健康調査でした。その調査で、調査対象の農業者の90%近くに何らかの異常が認められるという、驚愕する実態が明らかになりました。それは、農薬中毒、農夫症、農村婦人の貧血などなどです。生産第一主義の名の下に農村は大きく変貌し、農薬も無防備に使われていた時代でした。
この調査の結果をうけて、地域全体の中で住民が主体的に医療に参加し、「自分のいのちは自分で守る」住民運動として、1971年に「新しい医療を創る会」が生まれています。 この動きは、医薬品、食品添加物、農薬のあり方に疑問をもつ「いのちと土を守る運動」へと発展し、1974年、医者、学者、農家、消費者等、多彩な分野の人々の参加で「熊本県有機農業研究会」が設立されるという大きな流れとなっていったのです。
この予防医学の流れを受け継いでいるのが、熊本大学医学部の環境保健医学分野のみなさんです。このような教室と交流をつづけることができていることを、とても嬉しく思っています。おもしろいのは、学生たちは解剖の授業体験をしているので、鶏の解体も違和感が無く、どんどんのってくるのです。最初の頸動脈を切って、羽をむしる頃はおっかなびっくりの手つきでやっているのですが、だんだん慣れてきて、そのうちには内蔵の在り方やいろんな部位のことを興味深く探りながら結構手際よくさばいていきます。まさに医学部の学生ならではというところです。そして市販の鶏肉と違って歯ごたえのある解体鳥も、いつも残さず食べ尽くしてくれます。
ほぼ一日がかりの企画ですが、食べ物や生産の現状にしっかりと関心のあるお医者さんに育ってくれることを願って毎年楽しくつきあっています。
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ゆうきフェスタのリレートークで
18日の日曜日農業公園でゆうきフェスタがありました。
前日まで降ったりやんだりの一週間で、当日の天気が一番心配でしたが。当日だけはカラッとした秋晴れの天気にめぐまれてました。おかげで沢山の人が訪れてくれて賑やかな一日でした。今年は午前中は野菜ソムリエさんと生産者グループのコラボ企画で旬の野菜を使ったキッチンスタジアム、午後は福島原発事故に関わるリレートークがありました。福島に野菜を送っている試みなどをテーマに話をしてくれとのことでしたので、百草園と千草会で行っている「福島と繋がろうプロジェクト」のことを紹介しました。他にも移住して熊本で生活している人、また移住してきた人を受け容れている人などの話がありました。時間がたつに連れ、衝撃が風化していくにつれ、福島のことを忘れないというのが一番大切なことだと改めて思いを強くしました。千草会の皆さんの協力があって、福島の生活者の声を直に聞けるつながりを持てたことは、本当に良かったと思います。
私自身は、太陽光発電を取り入れたことも、バイオ燃料を使い続けることも、もちろん有機農業を続けていくことも同じ脈絡で繋がっていて、こうした在り方が普通になれば原発なしでやっていける社会がいつかは実現できるはずと思っています。
若い時とちがって勢いはありませんが、ゆったりでも粘り強く、持続的な営みとして続けていきたい物です。そうそう、今回の選挙では初めて原発問題がテーマの一つになりそうです。脱原発を掲げるところを応援しましょう。
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稲刈り、一段落
稲刈り一段落
うちの稲刈りはコンバインで収穫しますが、深田でぬかるみのある田んぼや狭い田んぼはバインダーという小型の刈り取るだけの機械で刈って昔ながらの掛け干しで乾燥します。飼料用の稲はずっと遅れて11月になってからの収穫です。初霜がおりました ジャガイモやいかに!
掛け干し米の収穫も終わってほっとして、さあ、これからは畑の方の仕事に専念するぞと思った矢先、なんと今朝11月2日には初霜がおりました。いつものペースより10日くらい早い初霜です。初霜がおりると真っ先に心配するのが「ジャガイモの葉は大丈夫かな」と言うことです。秋じゃがは今が育ち盛りで葉が茂った状態がどれだけ続くかが収穫を左右します。強い霜が降りると一発で枯れ上がってしまうので、11月の早い時期に霜が降りそうなときは、ビニールや寒冷紗をかけて回って霜対策をしたりします。今回のは突然でそうしたいとまもありませんでしたので、日が照りだして霜が溶けるまでの1〜2時間のうちに凍傷で痛んでしまわないかと心配です。これが、じょじょに寒気になれていくのなら結構長持ちするのですが、そうでなく、一気に寒気がきてしかも強い霜だったりすると一度でクタッとなってしまうのです。。、幸い、今回は何とか持ちこたえそうです。害虫も弱ってくれます
霜は悪いことばかりではありません、先ず、秋の害虫の動きを押さえてくれます。大敵ヨトウ虫の勢いもガクンと落ちます。ダイコンサルハムシの発生もおさまります。またなんといってもホウレン草をはじめ、冬野菜に甘みがのってきていよいよ本格的なおいしい冬野菜の季節が始まるのです。あの軽いと噂の防寒着を買ってきます
年をとるに付け、我々人間の方は暑さにも寒さにも弱くなってきますが、近頃はやりの軽く、暖かく、動きやすい防寒着を準備して冬の野良作業に備えます。
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フェスタのために「ちょぼ焼き」試作
今日は、ゆうきフェスタで出店するときに出す「ちょぼ焼き」の試作です。
亜矢子さんの子どもの十兵衛君が上手に焼いています。
研修生の坂本君も頑張っています。「ゆうきフェスタ」は
11月18日(日) 10時〜15時半
熊本県立農業公園で開催です。来てくださいね!!
熊本県有機農業研究会「ゆうきフェスタ実行委員会」主催です
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熊本で武藤類子さんの講演会
百草園と千草会で野菜を届けている、福島の武藤類子さんの講演会が熊本で開かれます。
福島を訪問したとき、彼女の経営していた里山喫茶にお伺いしたのですが、「何もないけど、泊まっていけば?」と言ってくださって、夜遅くまで二人で話しました。とてもきさくで、気配りの優しい方です。
免疫力をつける酵素の話や、独立型太陽光パネルの話(この喫茶の電力は独立型太陽光発電でまかなわれていました。)など、とりとめももないおしゃべりで、盛り上がり、熊本から野菜を送る時には、福島側の受け取りの窓口となることを約束してくれました。話の合間にも、電話やメールが頻繁にかかってきていて、福島が緊迫した状況にあることを感じて心苦しかったのですが。どうか、講演会で武藤さんのお話を聞いてください。
福島の心に触れることでしょう。
武藤類子講演会 「福島より」
10月17日(水) 13時〜15時
熊本市現代美術館 アートロフト
参加費 600円以上
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秋野菜の植え付け大忙し
台風の後いっきに気に涼しくなって、ようやく秋の兆しが感じられるようになってきました。
8月末から9月にかけては端境期の単調な野菜セットが続いていたので、季節が変わって新しい品目が出てくるのが待ち遠しくてなりません。今週は初めて里芋の早堀りと大根の間引き菜が入りました。まだかな、まだかなと試し堀りを重ねてきたのですが、ようや堀取り機をいれてもいいような大きさになってきました。一列掘ってみるとさつまいもも里芋も生育はよさそうです。一安心。
枝豆も来週くらいから出てきそうです。少しづつ、セットの野菜の顔ぶれも変わって秋バージョンになっていきます。一方で、この季節は秋冬野菜の作付けのピークです。今年は人参にまき直しで苦労しましたが。朝晩の涼しさに助けられて3回目の播種でようやく出そろいました。そうこうしているうちに、苗床の苗ものも大きくなってきて、先週からは動力噴霧器で灌水しながらキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、レタスの植え付けに入ってます。これらはすぐにヨトウ虫対策で防虫ネットを張ります。昔はそうでもなかったのですが、温暖化のせいか近年はヨトウ虫の発生の勢いがものすごく、ここまでしとかないと、後で手に負えなくなることが多いのです。
苗ものと並行して、白菜、大根、小松菜、チンゲンサイ、熊本京菜、水菜、タアサイ、ほうれん草、かぶなど直まきの種も準備の出来た畑から次々に播いていっています。9月いっぱいにはひととうり終わる予定ですが、中にはまき直しの必要な物も出てくるはずです。まき直しは決断のタイミングが難しく、遅れると生育が間に合わなくなるので、生えそろうまでは少しも気が抜けません。何年やっても毎年違う要因の大変さが出てくるので、農業というのは本当に奥が深いです。
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福島からのお便り 「1万人の告訴人を集めたい」
「福島と手をつなごう」プロジェクトの皆様
「1万人の告訴人を集めたい」という武藤さんから
8月のお便りです。▼『福島原発告訴・告発説明会 熊本』
8/28 18:30~ 熊本県民交流館 パレア9F 会議室 (問 09028820658)
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千草会の皆様いつも、美味しい野菜をありがとうございます
九州は酷暑のようですね。洪水もあり、たいへんな夏、お見舞い申し上げます。さて、福島原発事故から1年5ヶ月がたちましたが、事故は未だに何も終わってはいません。被害者の苦しみは、更に深いものとなっています。にも関わらず、この事故の責任が誰にあるのか、どこにあるのか未だ明確にされていません。今年の3月に結成した『福島原発告訴団』は6/11に1324人で、東電や原子力安全保安院など経産省の責任者、御用学者など33人を集団刑事告訴しました。8/1に正式受理され、いよいよ捜査が始まります。検察の適正な捜査と起訴を確かなものとするために、11月に二次告訴をすることになりました。今回は全国展開とし一万人の告訴人を集めたいと思っています。
九州においても『福島原発告訴・告発説明会』が開かれます。良かったら是非お出かけ下さい。福島の事務局と福岡への避難者が説明を致します。
お話を聞いて賛同頂けましたら、是非告訴人となって下さい。宜しくお願い致します。
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福島からのお便り 7月
千草会に皆様の支援で福島に野菜を送り、毎月、お便りを交換しています。
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千草会のみなさまいつも美味しくて新鮮なお野菜を遠い熊本から送って頂き ありがとうございます。
熊本、大分で、大雨の洪水による大変な被害を受けているとニュースで見ました。
大丈夫でしょうか?
ここのところ、地球のあちこちが悲鳴をあげているように いろいろな自然災害が多く起きているように思います。福島での原発問題…1年が経ってしまい 終わったことのようになってしまっている風のなか、いつも心配してくださって、美味しい野菜を送って下さる優しさに感動しております。
本当にありがたく、感謝の気持ちでいっぱいです。
まだまだ 放射能が漂っていて、ラジオで「今日の放射能数値は…」なんて言葉が流れているような毎日ですが、類子さんがおっしゃっているように これからも朗らかににこやかに、ここ福島で暮らして
いこうと思っております。
早く 地球に住まわせてもらっている人間が大切なことに気づいて 素晴らしい地球に戻れるように少しずつ出来ることをしていきたいなって思ってます。
どうぞ 今年の夏 九州では猛暑になると聞いておりますが、お体に気を付けてまた 親切なお野菜作って下さい。これからも お世話になります。よろしくお願い致します。
稲垣 優子
2012年7月
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太陽光でニワトリ小屋の電気が!!
7月16日、太陽光発電装置の設置と、木村さんの講演会をもちました。梅雨が終わりそうにないので当日出来るかどうか本当に心配しましたが、準備の一日と当日の開催中は計ったように晴れになりました。
今、我が家の鶏舎の8個の照明灯は全部LED電球に変えられて、畳2枚位の太陽光パネルが発電する電気でまかなわれています。冬は5時間くらい、夏場は1時間半から2時間くらい朝夕に点灯するのです。これは明るい時間を一定にして年間の産卵数を安定させるためです。夏場は日がながく電気が余るので、福田亜矢ちゃんが野菜を計る作業場の電気と扇風機などにも使ってます。モニターでどれくらい発電してるか、使用しているかが表示されますので、折々にそれを確かめては楽しんでいます。何とはなしにうきうきしてきます。
トラクター燃料は廃食油から作ったBDFを使っていますし、お風呂は天日、そして今回、電気の一部を自給する体制を作りました。化石燃料に頼る度合いと原発に頼る度合いを少しずつ減らしていくというスタイルは今後も続けていきたいと思います。
これは特に原発事故を経験してから切実に考えるようになりました。再稼働が次々に認められて、ともすれば原発廃止の現実性をあきらめそうになったりもします。でもそこをあきらめずにまずは自分の在り方から変えていくこと。そうすれば、社会に対しても電力会社に対してもはっきりNOと言っていける根拠になるのではないかと思います。16日に設置の指導と講演をしてくれた木村さんは、原発技術者としての良心から、「これを暴露したら、自分は消されるかもしれない」というようなことも告発してきた人です。でもそんな大変なことを感じさせない、明るくて柔和な人でした。手伝ってくれたミュージシャンの東田トモヒロさんは、流木をあしらってパネルを飾り付けてくれました。いい友達ができたこともうれしいことです。
※自称「流木アーティスト」の東田トモヒロさんがとりつけてくれた白い流木に飾られて、独立型太陽光パネルが庭で輝いています。
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