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百姓百品の便り
農業と環境、国も言いはじめています
3月14日と15日の両日にわたって、農林水産省主催の有機農業全国会議が開かれましたので、東京に行ってきました。
有機農業推進法が出来て以来、有機農業は国の政策のなかにわずかづつですが取り入れられるようになってきたんです。東京で日本有機農業研究会が設立され、「有機農業」の旗を立てて以来40数年の間、国は有機農業に振り向こうともしなかったのですが、時代は変わりました。
国が認めなくても、有機農業を信頼し、応援し、食べてくださった消費者の力です。
有機農業推進法には「有機農業を消費者の選択の一つとして推進する。」とはっきりと消費者の力を反映したものであることが書かれています。もう一つ、国にとって有機農業を進めなければならない大きな課題がでてきているようです。
地球温暖化と、環境の保全です。
それまで環境問題が語られるとき、農業との関係はなかなか語られることはありませんでした。食品の輸送距離に使われるエネルギーで環境負荷を見る「フードマイレージ」くらいでしょうか。でも、会場で配布された文書には
「我が国の農業が持続的に発展していくためには 、 地球温暖化の進行や農業生産に由来する環境保全効果及び環境負荷を踏まえた上で、農業生産活動が行われる必要がある。
このため、生産環境総合対策事業は、農業生産における地球温暖化対策の強化、有機農業の拡大・定着、施肥低減等による合理的な施肥体系への転換など、環境と調和した持続的な農業生産の拡大に向けた取組を総合的に推進するものである 。」
と巻頭に書かれていたのです。難しく書いてありますが、かいつまんで言えば、農業の環境負荷と環境貢献の両方をしっかり見て、農業やりましょう。そのためには有機農業がいいよ。ということかな。。。。。
赤とんぼが田んぼで生まれる事、田んぼが地下水を作っている事、農業者が水路を管理している事など、農業が作っている環境は、農業者の生活に溶け込んで、意識化されていないため、まだまだ農業の多面的機能としてその価値が発見されていません。
野菜についたアオムシに卵を産みつけるアオムシコバチを観察し、戯れたりすることの楽しさを思い出しながら、そう思いました。
農業と環境、国も本気で進めてすれくんですよね。
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百姓百品の便り
端境期の真っ最中
毎年、この時期になるとセットを組むための野菜が乏しくなってきます。冬の間は作付けできませんので、秋にまいて畑で冬を乗り切ってきた野菜たちも、貯蔵してあった根菜類もいよいよ底をついてきます。加えて、3月4月は春の端境期に入りますので、いよいよ品目が少なくなってきます。
しばらくは、単調なセットが続くと思いますがよろしくお願いします。この時期を乗り切るために、協力農家と声を掛け合って、融通しあったり、支援してもらったりして毎年やりくりしています。今年は寒がきつすぎてその点でも苦労してます。例えばブロッコリーが寒さで傷んでしまい脇芽が出てきません。うちだけかと思ったら、よそも同様でした。なんと脇芽が主体のスティックセニョールさえ出ないとのことで、驚きです。カブやダイコンも例年より寒害がひどく、早めに終わりそうです。白菜も終わりですが、遅まきで結球しなかった分を来週から青物として使うことにします。そんな中、露地物で今か今かと待っているのは、第3弾のほうれん草と白菜の菜の花、芽キャベツなどです。
こうなると、端境期対策で、早出しのために作付けるビニールトンネルの小松菜など青物類がたよりですが、こちらは、あと、2〜3週間というところか。
一方苗床ではレタス類の苗が育ってます。いつもなら、鉢上げした残り苗は捨ててしまうのですが、今年は取っといてトンネルをかけて早出し出来るようにしたほうがいいかもしれないと思案してます。とにかくなんとかやりくりしながらこの時期を乗り切っていかなくては。
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「万菜村」の就農研修生募集
「万菜村」は「百草園」で育ったニューファーマーを主なメンバーとする出荷グループです。全くの新規就農だったり、後継者としてUターンしてきたりと様々ですが、有機農業にかける思いの強さは保証つき。
そんな「万菜村」で、私たちと同じように有機農業を目指して新規就農を希望する人たちのために、研修生を受け入れています。
期間は基本的に一年間。
少量多品目の露地栽培をおこなっている万菜村のメンバーの農場で、農作業をしながら農業技術を学びます。
また、自分達の作った農作物を将来的には販売をしないといけませんが、有機農産物の出荷方法などについても学べるでしょう。研修費用は特に求めません。また、研修期間中の研修生の生活支援のために、万菜村の共同出荷の配送業務や農家からの補助で月10万円程度を保証できるように考えています。仕事の関係上普通免許(マニュアル)が必要です。
研修後、自身が万菜村のメンバーになりたいという人には、話し合いのうえ農地の紹介をはじめサポートをおこないます。
興味のあるかたはご連絡ください。
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オルタナティブな生き方を
昨年8月27日。東京で開かれた日本有機農業研究会40周年記念シンポジウムに参加しました。テーマは「大震災・原発事故をのり超える有機農業」。会場で、槌田劭氏(「京都・使い捨て時代を考える会」代表)が「まず、これまでの運動で原発を阻止できず、このような事故を招いてしまったことをお詫びしたい。」と言われたことに胸をつかれました。
謝るのは「安全だ」と嘘を言い続けた東電であって、反対運動をしてきた人々ではないはずです。ただ、放射能で汚染された田畑で、「それでも種をまき、百姓であり続ける。」と決意を述べられる有機農業家を前にして、そのような言葉しか見つからなかったのかもしれませんが。東電は未曾有の惨事を起こし、国土を汚染しておきながら、経営陣はまだその責任すらとらず、方針をかえる気配すらみせていません。長い闘いになるのでしょうか。
槌田氏は、最後に「脱原発のために、何でもやれることをやり続けましょう。」と言われました。私も忘れることなく、人間の制御できない原発に反対し、持続可能なエネルギーと、オルタナティブな生き方を求めて、やれることを続けていくつもりです。
そして私のやれることの一つとして、安全な物を作り、不安をもつ皆さんに送り届けることができるよう、百姓仕事をがんばります。
今年もよろしくお願いいたします。
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<百草園スタッフより> 今年もお世話になりました
←霜に覆われた野菜達。何度も霜がふって、野菜達は「凍るまい!」と糖分を蓄え甘くなります。でも、外葉からゆっくりと、霜にやられはじめます。
<間 司>
大変な一年がようやく終わろうとしています。地震被害もさることながら、原発事故による放射能汚染の問題は有機農業者として大きな衝撃でした。今までももちろん有機農業と原発の発想は相容れないものであり、立場としての原発反対は一貫したものでありました。でもこんな事故が起こった時の現実的は被害を実感できていなかったことを痛感させられました。原発は止めなければなりません。身の回りの落ち葉やきのこが安心して使えるというのでなければ有機農業は成立しないのです。「反原発」は来年の大きなテーマです。<間澄子>
今年はホームページを作り、皆様とのコミュニケーションをとりたいと、メールも頑張った一年でした。
30年もやっていると、当たり前のように田舎暮らしは過ぎていき、何がすばらしいのか見えなくなるのですが、みなさんから「野菜が美味しい」と何通ものメールをいただき、それ以来、野菜達を見る目がとりわけ優しくなり、畑で体が喜ぶのを感じることができました。
ありがとうございました。きっと来年も頑張れます。<宇野木憲一>
火金の配達担当の宇野木です。
本年中は大変お世話になりました。
今年は、4月から自分の農園「千紫万紅」を運営しはじめ、百草園は配達のみとなった為、見えている範囲の野菜の話しか出来なかったことが、少し残念でした。
来年は、更に自分の野菜に注力する為に、3月いっぱいで金曜コースを卒業する予定ですが、今後ともよろしくお願いいたします。<内田ともあき>
今年振り替えって、農業は大変だけどとてもやりがいがあり、楽しかった一年でした。けどいくつか反省するところもありました。ひとつは作業ペースが遅かったこと、もう1つは体づくりが全然出来なく痩せられなかったし夏バテしてしまったことです。こんなこともありましたが無事に一年間おわれたことが良かったです。さて、来年の目標は4月から新規就農で1からスタートするので1月からある程度、準備を研修をやりながら始めて、すぐに野菜を出荷できるように頑張りたいと思います。そして、地域の人達の交流も是非したいです。あと来年こそは体づくりに励みウェイトをおとしたいと思います。<福田亜矢子>
今年も1年間、ありがとうございました。私は野菜の袋詰めをさせてもらっています。百草園では季節によって色んな野菜がとれるので、いつも色んな野菜に囲まれて、楽しいです。間さんは、本当に、野菜作りが上手だなと感心しています。皆さんにおいしく食べてもらえるように来年もがんばります。
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蔦葛でリース作りました
年の瀬になると畑や家の回りを片付けはじめるのですが、柿の木に直径3センチはあろうかという大きな蔦葛がからみついているのを発見。あまりの立派さに、切り捨てるだけではもったいないと、クルクルッと輪にしてリースを作る事にしました。
でも、飾り付けを買いに行く時間はなく、家にある野菜で赤いもの、緑のもの、白いものを見つくろってみました。
赤トンガラシ、青トンガラシ、ニンニク、タマネギです。
ネットで調べると、ボンドで固定するとありますが、生の野菜を張り付けるのにボンドが効くかどうかとても心配。
だから、置いたままで写真をパチリ。
明日には、しっかりと固定されているでしょうか。。。
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薫製つくりました
今年もまた薫製を作りました。
卵を産んだあとのニワトリなので肉は固いのですが、塩をすり込んで、じっくりと4日間熟成させると、その過程でほどよい固さになります。
燻材には、台風の時に倒れた桜の木をとってありますから、それを使います。天然の桜の木は最も良い香りを醸し出すんだそうです。
市販の薫製のラベルを見たことがありますか?
薫製には、塩と香辛料、あとは燻煙をする木しかいらないはずなのに、発酵調味料、リン酸塩、酸化防止剤、発色剤、保存料等、台所にはないものが使ってあります。
このような薬品を使う事は、工場でつくられる加工食品の宿命なんでしょうか。食べる所と作るところの距離が遠い、効率が求められ、じっくりと旨味をひきだす時間がとれないなどの理由がありますから。一羽丸ごとの燻税です。塩と香辛料だけで、本当に美味しいものができるんですよ。
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お歳暮セット受付ています
恒例の百草園の生産者が育てた野菜で組んだ「お歳暮セット」のご案内です。根菜類を中心に、冬野菜代表的なもので組みました。関西圏なら翌日配達です。お世話になった方や、親しい方に安全で安心な農産物の贈り物をしてみませんか。
ご希望の方はメールでご連絡ください。(★セットの野菜は畑の状況で、一部変更の場合があります)① 野菜詰め合せ ▼2500円+発送費
サツマイモ 1k
さといも 1k
じゃがいも 1k
ねぎ 500g
人参 1k
かぶ 10個
白菜 1個
ホウレン草 500g
キャベツ 1個
大根 1本② お米と加工品 ▼3200円+発送費
米あきたこまち 3k
梅干し 350g
珈琲 浅煎り粉 200g
五島の塩「あかね」 100g③ お米と野菜 ▼2700円+発送費
米あきたこまち 3k
じゃがいも 1k
さといも 500g
人参 1k
白菜 1個
大根 1本
ホウレン草 500g
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新米の年間予約が始まりました
←飼料米の穂。ヒノヒカリやコマチに比べてとても長く倒れてしまいます
▼新米の配達が始まります
いよいよ今週から新米の配達が始まります。山間地の今年の作柄は早い梅雨の入りと長雨、低温がたたって初期生育が悪く,不作だったそうです。平坦地では、なんとか平年並みというところでした。周りの話を聞くと、見かけほどには中身が無く脱穀してみたら平年以下というところがほとんどのようです。▼今年は単品の注文はうけることができません
一方、年間予約の方は、有り難いことに何年かぶりに大幅増加です。年間予約の方を最優先しますので、今年は、いつも余裕の部分でまかなっていた単品出荷や店舗出しは無しということになります。▼にわとり用の飼料米も順調です
昨年から鶏の餌用の飼料米も作っています。昨年は初めての取り組みで、収量も悪かったのですが、今年は今からの刈り取りですが去年よりはずいぶん良さそうです。どうやら、ニワトリの餌を、一年間くず麦と半々で与えられそうな量を確保できそうです。去年は7月いっぱいで自家栽培の飼料用米は終わってしまいましたので、これは前進です。この飼料米の栽培は農林水産省の補助金つきの事業ですから、人が食べる分に転用することは固く禁じられています。刈り取りの時期も役所からチェックに来ますし、毎月の使用量も報告しなくてはいけません。
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今年も医学部の学生がやってきた
今年もまた、熊大医学部の学生が百草園にやってきました。
環境保健医学分野を学ぶ医学生で、食と農を基礎とした健康な地域作りをテーマとした研修のプログラムです。引率された上田先生は、農村医学会の会長をつとめられた方です。
外科学会や内科学会とかは聞いたことがあっても、農村医学会という領域があるって事を知っている人は少ないのかもしれないですね。
この学会で言われる「健康な食は健康な農村から産まれる」という言葉が私は大好きです。
農村の健康ことを学問としてとらえてくれるお医者さん達がいるなんで、すごいと思いませんか?30数年前、熊本では、医学生が農村には入り健康調査をやっています。
農夫症やひどい貧血など、調査から明らかになった農村のひどい健康状態が基本となって、医者、農業者、消費者などの多彩な人々が参加し「熊本県有機農業研究会」が創設されました。「健康な食は健康な農村から産まれる」
という、言葉が社会運動として動き始めたのです。そのような歴史に支えられた研究室なのですが、百草園では、毎年、医学生が鶏を解体して焼き肉にし、私達は小麦粉を使って郷土料理「だご汁」をつくり、一緒に食事をしながら交流、意見交換をしています。
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