フェアトレードは学校の授業でも扱われていますから、熊本でもかなり浸透してきました。では、ローカルフェアトレードとは何でしょう?
選ばれる熊本を目指して
私たちには見えていませんが、現在すでに、外国の人々は日本の経済・社会の重要な構成員となっていて、県内でも多くの外国の人々が働いています。でも、全国では5 年間で約 35 万人を受け入れる予定の特定技能の外国人も、所得水準の高い大都市圏へ流出するのではないかと言われている中で、熊本県は「選ばれる熊本(地方)」てをめざして、行政サービスの対応及びコミュニティにおける多文化共生を模索し始めているのだそうです。
県内のエスニック料理と外国人が多数働く農業をつなごう
その多文化共生の一つに、学園大の申明直先生が提唱されているローカルフェアトレードの考え方がぴったりなんです。多くの外国人が働く農業生産現場と、消費をつなぐことで、多文化共生を実現するというものです。もちろん、フェアトレードというからには経済の仕組みは必須です。
まずはその第一段階として、県内のエスニック料理店を学生と一緒に調べたそうです。
現段階では、インド料理や中国料理、韓国料理がそれぞれ約30店舗。ベトナム、スリランカなども10店舗近くあることがわかっているとか。それをネット上だけで調べるのではなく、出向いて行くので、「どれだけエスニック料理を食べたことか」という先生の表情は楽しそうでした。
一方で、JICA(国際協力機構)による2022年の調査によれば、農業生産現場で働く外国人の割合は2割を超えているというデータがありますが、私たちには見えていませんよね。
ローカルフェアトレードの一歩として、まずはこれをネットでつないでいきたいと申先生は考えています。つまり、エスニック料理店の紹介ページとローカルフェアトレードに理解ある生産者の紹介のページをつくり、それが販売でつながっていくようなものにしたいということでした。
そこに百草園も入ってほしいと言われたので、即OKの返事を。
多文化共生の基準と持続可能な環境基準も必要
今後1年間議論を重ねて、ローカルフェアトレードの基準(多文化共生の基準と持続可能な環境基準)を決めていきたいし、その基準を満たした場合の認証マークも決めていけたらという先生の話は魅力的です。
私は食べることが好きなので、エスニック料理店の紹介はワクワクします。そしてそこで文化や人と農業が出会えれば、それはきっと楽しい未来になるでしょう。
百草園の場合
百草園にはナイジェリア出身のオビロさんがもう長く勤めています。
ベトナム出身のリンさんとも、3年も一緒に働きました。
そして、多文化共生について語りつくせいほどのことを二人から学びました。
私が多文化共生という考え方にであったのは、20年ほど前にサンフランシスコにNPOの研修で行った時です。サンフランシスコではそのことをメルテングポット(人種のるつぼ)と表現していました。